価格設定の構成要素は、費用、競争、需要(値ごろ感・市場規模)の3つです。


昨今、このうち費用が原材料の高騰が原因で上がる傾向にあり、それを、価格に転嫁する動きが各企業にあります。

怖いのは、「値上げをすると売れなくなるのではないか」ということです。

事実として、たとえば、1月に値上げした、日清のカップヌードルは、定価ベースで155円→170円に値上げしました。また、スーパーの特売にかかる場合には100円を切る価格だったものが、現在は120円ぐらいになっています。

この結果、カップヌードル全体のシェアは47.4%→22.5%に大幅にダウンしました。(ただし、日清は新製品の投入などで日清のシェアは微減にとどまっています=これが日清のマーケティング力の優れたところです)


値上げをする場合に、他社の競争と需要をどのように考えるかということがあります。これを読み違えると売上が急速に落ちる可能性があります。

カップヌードルの場合は、大手スーパーで並んでいるPB商品との競争関係と、消費者の持っているカップめんの値ごろ感ではないかと推察されます。

値ごろ感とは、企業から提示された商品の価値について、消費者が高いか安いかということを判断するための、消費者自身がもつ尺度ということです。

カップめん全体に売上の推移がよくわからないので、はっきりしたことはいえませんが、大きな原因として、特売での実売価格が100円を上回ったことが大きな要因ではないかと考えています。つまり、スーパーで購入している消費者にとっては120円という価格は値ごろ感の上限を外れたのではないかということです。


逆に、値上げをしても、売上を落とさない商品もあります。これらの商品は、消費者の値ごろ感が値上げをしても、その上限以内に入っていたいうことです。(逆にいえば、値上げ前であれば、もっと高い価格をつけても売れていたということになります=高くしたら売れなくなるのではないかという恐怖が原因です)。


それらの商品は価値訴求をしているということで共通点があります。
この価値を消費者やユーザーに明確に提示することが重要ではないかと思います。

結論としては、この原材料高を理由として値上げをした場合は売上の減少は避けることができません。商品の価値をいかに消費者やユーザーに伝えるかということが重要で、
「原材料費が値上げしたので、値上げしました」ではなく、「この商品はこういう価値があります。だから買ってください」という発想の切り替えが必要だと思います。


新井会計事務所