児童養護施設を舞台にした日本テレビ系の連続ドラマ「明日、ママがいない」が病院や養護施設団体などから抗議を受けている問題で、番組スポンサー8社のうち、新たに花王、小林製薬、三菱地所の3社が27日、第3話(29日放送)でのCM放送の見合わせを決めた。これで全社がCM放送を中止または見合わせることになった。」
この件は極めて考えさせられることである。
最近、CMについては、全日空が外国人から差別だというクレームから、
キリンがカエルのキャラクターが未成年者への配慮が足りないというクレームから
また、ファミリーマートがフォアグラ弁当を、「残酷な食べ物」というクレームから販売を中止した(http://www.family.co.jp/company/news_releases/2014/140124_01.pdf)。
まず、CMは、企業側(広告主)が、自らが表現を制作し、自らがお金を払って購入した枠に露出するものなので、媒体社側は審査を行っているが、編集等の責任や、何らかのクレームがあった場合の責任は、自らが負わなければならない。
販売についてはもっと直接的に、消費者と接触しているポイントとなるので、責任は販売者である。
企業が恐れてるのは何か、また、少数のクレームで放送中止や販売中止の決断をする理由は何なのだろうか。
企業側には何ら悪意はないにしても、それによるブランドイメージの低下を異常に恐れているのではないだろうか。
ブランドイメージはちょっとした負の情報により大きく変化し、企業側が長い年月をかけて構築したものが、一度に瓦解する危険性を持っている。
そのため、特に最近は、ツイッターなどのSNSによる、情報の拡散が、あらぬ方向へ飛び火し、その火消は厳罰をもって対応しなければならなくなっているのである。
CMの内容を見ても、これをどう曲解すればクレームのような主張になるのかは私にはわからないが、それでも、少数のクレーマーが、負の情報をツイートし、そこから、拡散して、負の連鎖が始まったらと想像するだけで恐ろしい。
なので、「明日、ママがいない」のスポンサーを降りるのは理解ができる。
しかし、日テレが放送中止をするか否かは別問題である。
CM契約がどうなっているかはわからないが、スポンサー料(タイム広告費)が入ってこないのは、民放テレビ局としては死活問題だが、
放送局としても使命もある。
ただでさえ、面白いテレビ番組が減ったといわれているところで、クレームによってドラマ中止にすれば、悪しき前例になってします。
そして、制作側にとって、さらなる手かせ足かせになってしまう。
視聴率が取れれば何でもいいという意味ではない。
伝える側の、良識ある使命を忘れてほしくないというのが私の思いである。