船場吉兆が廃業しました。

社長がその原因を記者会見で問われたときに「のれんにあぐらをかいていました」と答えました。

のれん=ブランドです。

ブランドは資産です。

ただし、普通、貸借対照表上に掲載されている資産科目は、いかにその価値が下落してもゼロになることはありません。しかし、ブランドという資産は一夜にしてゼロになったり、下手をすればマイナス(負債)になったりもします(M&Aのために、会社の値段を計算する時などは明らかです)。
そこが、他の資産と異なるところです。

船場吉兆は先代が築きあげた「吉兆」ブランドを利用して事業をおこなってきました。しかし、度重なる不祥事の発覚でそのせっかくの「吉兆」ブランドの価値を下げてしまい、逆にそのブランドがあるが故に廃業に追い込まれました。

さらに、他の「吉兆」グループの会社も風評被害を受けたことにより、ブランド価値を下げてしまい、売上が減少したということです。
逆にいうなれば、他の「吉兆」は、船場吉兆の不祥事発覚後、なぜ積極的にブランド価値を下げない努力をしなかったのかが不思議でなりません。
これも経営者としては怠慢です。
経営者の能力はイケイケの時ではなく、逆境の時にわかります。

船場吉兆が廃業した今、気兼ねすることとは何もないし、積極的にブランド価値を下げない努力をするべきです。そうでなければ、引きずられて業績悪化→廃業ということにもなりかねません。

ブランド力で事業をおこなっている企業は、ブランド力を維持する、向上する努力をを忘れてはならないのです。

新井会計事務所